「エイジングケア」とは、年齢に応じた肌のお手入れ…だけ?!

「エイジングケア」とは、年齢に応じた肌のお手入れ…だけ?!
ピンク
ねぇ、レッド、みんな!
5月に「薬用」や「美白」の話をしたことを覚えてる?
あのとき見せてもらった化粧品の資料を読み直して一つ気になったんだけど…

眞鍋かをりさん「美白アンバサダー」就任! ところで「薬用美白」とは…?

イエロー
あー、覚えてる!
「SimiTRY」と書いて「シミ・トライ」って読む化粧品だ。
グリーン
グリーン
いや、イエロー、あのときも言ったが、あのブランド名の日本語読みはダジャレ交じりの「シミトリー」だ。
レッド
レッド
それはさておき、ピンク、何が気になったんだ?
ピンク
ピンク

あの資料の商品説明にこんな文章があって…

●1品で「化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック、アイクリーム、マッサージ、化粧下地、小じわ、美白、保湿」の11役を合わせ持つ美白もエイジングケア(*2)も叶えるオールインワンジェル

…この「*2」の注釈に「年齢を重ねた肌へのうるおいケア」と書いてあるんだけど、「エイジングケア」というのは「年齢を重ねた肌へのうるおいケア」だけを指す言葉なの?

エイジングケアは、「アンチエイジングのためのケア」のことだと思っていたんだけど…

イエロー
イエロー
いや、ピンク、化粧品の広告をいろいろ見ていると、「年齢に応じた肌のお手入れ」という説明もよく見かけるよ。
別に「うるおい」に限った話ではないんじゃないの?
ブルー
ブルー
ピンク、なかなか良いポイントに気がついたね。

「エイジングケア」という表現は、イエローの言う「うるおい」はもちろん、そもそも「肌」に限って使われる表現でもない。

「アンチエイジング」の方については、4月の作戦会議の時にレッドが配った資料で復習してくれ。

抗老化戦隊アンチエイジャー、参上…もとい誕生!

アンチエイジングと「エイジングケア」

 

ブルー
ブルー
まず、「アンチエイジング」は、レッドが配ったあの資料にもあった通り、一般的な意味としては「体や心の老化を抑えて若さを保つことや、そのための取り組み」だ。

この言葉自体は1990年代に欧米の医学分野で使われるようになり、その後、2000年代にはいると美容や健康など幅広い分野で使われるようになった。
「乱用」されるようになったと言っても良いだろう。

それもあって、当初の医学的な意味でのアンチエイジングは、しばしば「アンチエイジング医学(antiaging medicine)」と呼んで区別するようになったんだ。

一方、アンチエイジングの言い換えのような感覚で「エイジングケア」と言うのは日本独自のもので、これは主には化粧品メーカーなどが広告上の都合から使うようになった言葉だ

というのは、この「アンチエイジング」という言葉を化粧品や食品の宣伝文句や商品名に使う際、医学的な効果を匂わせるような宣伝文句が溢れたことが社会問題化したため、化粧品業界としては何かしら、「アンチエイジング」に代わるキャッチーな言葉が必要になったわけだ。
レッド
レッド
で、結果的に主流になったのが「エイジングケア」という言葉…ということか。
ブルー
ブルー
その通り。
ちなみに欧米でエイジングケア(aging care)と言うと、主には高齢者の介護や高齢者向けサービスや配慮を意味するのだが、日本の場合、ほぼ美容的なスキンケア、ボディケア、ヘアケアの意味でしか使われない。
ピンク
ピンク
ありがとう。
ちなみに化粧品に「エイジングケア」という言葉なら自由に使うことができるの?
グリーン
グリーン
それも良いポイントだ、ピンク。
それは俺から説明しよう。

実は「エイジングケア」に関しても、それほど簡単な話ではないんだ。

化粧品業界では…

 

グリーン
グリーン

まず、化粧品業界では長年、「粧工連」と呼ばれる日本化粧品工業連合会という業界団体が適正な広告表現を推進しているんだ。

その連合会が自主基準として「化粧品等の適正広告ガイドライン」を掲げているんだけど、その中にこんな記述がある。

  人は皆加齢することは自然の摂理であることは言うまでもない。人の肌の年齢に応じた化粧品等に よるお手入れとして、「エイジングケア」という表現を用いて広告を行なう場合は、事実に基づき 次の定義や表現の範囲内で行い、化粧品等の定義を逸脱するような表現を行ってはならない。

1.エイジングケア表現
(1) エイジングケアのガイドラインにおける定義
  ・エイジングケアとは、加齢によって変化している現在の肌状態に応じて、化粧品等に認め られた効能・効果の範囲内で行う、年齢に応じた化粧品等によるお手入れ(ケア)のこと である。
(2) 認められる表現の範囲
  ・年齢に応じた化粧品等の効能効果の範囲内のお手入れ(ケア)のことを「エイジングケア」 を用いて表現したもの
(3) 認められない表現の範囲
  ・「エイジングケア」を標ぼうしながら若返り、老化防止、シワ・たるみの防止等の化粧品等 の効能効果の範囲を逸脱した「エイジングケア」を用いた表現
  例: a)若返り効果に関するエイジングケア表現
     b)加齢による老化防止効果に関するエイジングケア表現
     c)加齢によるシワ・たるみの防止、改善に関するエイジングケア表現
     d)配合成分、作用機序の説明で老化防止を標ぼうしたエイジングケア表現
     e)肌質改善し、老化防止を標傍するエイジングケア表現
     f)「エイジングケア」を個別の具体的な効能・効果、又は作用であるかの様に標ぼうした表現

出典:「化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版(第1刷)」(日本化粧品工業連合会
   「第3章 化粧品等の適正広告ガイドライン表現編 E18「エイジングケア」の表現 」

 

ピンク
ピンク
なるほど、結構細かいルールがあるのね。
グリーン
グリーン
その通り。
で、このルールにもとづいて、具体的にはどんな表現は良くてどんな表現はダメなのかを見ていくと、こんな感じだ。
 2.エイジングケア表現の範囲の具体例
(1) 認められる表現の具体例
 ・年を重ねた肌にうるおいを与えるエイジングケア
 ・年を重ねた肌にうるおいを与える成分○○を配合したエイジングケア
 ・年を重ねた貴方の肌に今必要なもの、それはすこやかな肌のためのうるおいエイジングケア
 ・美しく齢を重ねるために大切なこと、それはうるおいに満ちた肌のエイジングケア
(2) 認められない表現の具体例
 a)若返り効果に関する表現
 ・あきらめないで下さい。エイジングケアで若さは再び戻ります
 ・若々しい素肌がよみがえるエイジングケア
 ・小じわ、深いしわ、時間が戻るエイジングケア
 ・老化を招く原因のひとつ、活性酸素を取り除いて、若々しい素肌へ導くエイジングケア
 ・こんな方にオススメのエイジングケア……シワ、たるみが目立ち、老けてみられる
 b)加齢による老化防止効果に関する表現
 ・肌の老化を防ぐエイジングケア
 ・アンチエイジングケア
 ・エイジングケアで加齢に待った
 ・肌の老化対策エイジングケアとして開発された
 ・エイジングケアの大自然のパワーが肌老化を解決
 ・肌を「守り」「育む」老化対策のためのエイジングケア
 c)加齢によるシワ・たるみの防止、改善に関する表現
 ・シワ専用美容液、シワを直す、シワを取り去るエイジングケア
 ・皮膚の老化メカニズムに着目した、シワ対策のエイジングケア薬用美容液
 ・シワやたるみを防ぐエイジングケア
 ・シワを改善するエイジングケア
 ・○○エイジングケアは加齢によるお肌の衰えにやさしくダイレクトに働きかけます
 ・シワ専用エイジングケアナイトクリーム
 ・エイジングケアで目覚めればシワ、タルミすっきり!
 ・シワの原因は真皮の劣化です。真皮の劣化はエイジングケアで改善できます
 ・エイジングケアで目もとのしみ、しわ、たるみに速やかに対処
 ・肌細胞に直接働いてシミ、しわ、たるみにエイジングケア
 d)配合成分、作用機序の説明で老化防止を標ぼうした表現
 ・肌の老化と戦う抗酸化成分○○を配合、○○エイジングケア
 ・肌の老化防止に役立ち、特にコラーゲンの生成能力を高める○○○成分によるエイジングケア
 ・シワの生成原因となるたんぱく質の量をコントロールするエイジングケア有効成分○○
 e)肌質改善し、老化防止を標傍する表現
 ・エイジングケアで衰えに負けない肌をつくる
 ・エイジングケアでシワを消すと同時に、シワのでき難い肌にする相乗効果
 ・素肌の力を若返らせて、肌の老化を防ぐエイジングケア
 f)「エイジングケア」を個別の具体的な効能・効果、又は作用であるかの様に標ぼうした表現
 ・肌のハリ、エイジングケア、保湿のために
 ・エイジングケア成分を配合しました 

【関連法令等】 医薬品等適正広告基準‥第4の3(1)、3(2)

出典:(同上)

 

グリーン
グリーン
ご覧の通り、具体例を列挙するとグレーゾーンが気になってくるかもしれないが、結局のところ 認められない表現の範囲としては前述の通り、「(3)「エイジングケア」を標ぼうしながら若返り、老化防止、シワ・たるみの防止等の化粧品等 の効能効果の範囲を逸脱した「エイジングケア」を用いた表現」という一文に集約されている感じだね。

ということで、ここまでは化粧品業界の話。

で、アンチエイジングの本家だったはずの医療業界でも、数年前から「アンチエイジング」の代わりに「エイジングケア」という言葉を使う流れが起きているんだ。
ピンク
ピンク
そうね、確かに、美容クリニックの名前をちょっとネット検索しただけでも、キャッチフレーズとかでかなり使われているわね。

「エイジングケアなら ○○クリニック」とか「エイジングケア専門の美容外科 ○○クリニック」とか「総合エイジングケア ○○クリニック」とか「エイジングケアセラピー ○○クリニック」とか…
グリーン
グリーン
そう、化粧品業界で起きたことと似たような流れだ。
この話はブルーにバトンタッチだ。
ブルー
ブルー
了解だ、グリーン。では、手短に説明しよう。

紫外線対策は子どもの時から! 頼りになるのは…

美容医療業界では…

 

ブルー
ブルー
医療業界ではちょうど2年前、2018年6月に改正医療法が施行されたときに、現在の医療広告ガイドラインが使われるようになった。

そのガイドラインには「アンチエイジング」という名称を使ったこんな具体例が盛り込まれていたんだ。
医療に関する広告については、直接的に表現しているものだけではなく、当該情報物を全体でみた場合に、暗示的や間接的に医療に関する広告であると一般人が認識し得るものも含まれる。このため、例えば、次のようものは、医療に関する広告に該当するので、広告可能とされていない事項や虚偽・誇大広告等に該当する場合には、認められないものである。 ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
【具体例】 ① アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジング アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や医薬品医療機器等法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。 ② 最高の医療の提供を約束! 「最高」は最上級の比較表現であり、認められない。
出典:厚生労働省ホームページ(『医療法における病院等の広告規制について』ページ内)
  「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(通称『医療広告ガイドライン』)
  「第2 広告規制の対象範囲」内「3 暗示的又は間接的な表現の扱い」より

 

ブルー
ブルー
このガイドライン自体は病院などの広告を対象にしたものなので、「アンチエイジング」の話はガイドライン全体の中では小さな扱いだったのだが、それでも当時、アンチエイジング医学・医療の関係者間ではかなりの混乱が起きて騒ぎになった。

看板や広告に「アンチエイジング」という名称を掲げている医療機関や、人間ドックのアンチエイジング版として「アンチエイジング・ドック」をサービスとして提供する医療機関はたくさんあったからね。

実は一定の要件を満たせば一部の禁止事項が解除される「限定解除」というルールの説明が不明確だったことから起きた混乱も多く、規制範囲を誤って拡大解釈して自主規制したケースも多かった。

結局、「アンチエイジング」という言葉を「エイジングケア」など他の言葉に変えるクリニックも増えるという、化粧品業界と似たような展開になっているわけだ。
グリーン
グリーン
ちなみに実態としては、「アンチエイジング」に限らず、この広告規制絡みでルール違反をしている医療機関は全国でたくさんあるんだ。

でも、厚生労働省が民間委託したネットパトロール事業は予算も少ない。
受託業者は十分な体制もなかったようだが、1年前に突然、他社と交代した。

いろいろな医療機関のネット広告を見ていると、最近では一時期よりも違反が増えている印象さえ受ける…
ピンク
ピンク
なるほど、そういうことだったのね。ありがとう!
レッド
レッド
ブルー、グリーン、参考になる話をありがとう!
広告表現や規制の話はさらに深掘りする価値がありそうだな。
またこの件でも作戦会議をやろう!
みんな
みんな
レッド、了解!

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